胎児が母体からのアルコール摂取によって発症する可能性があるのが、FAS（Fetal Alcohol Syndrome＝胎児性アルコール症候群）です。FASを発症した胎児には発育不全や知能障害が認められ、顔貌にも特徴が出ることがあります。原因として、アルコールにより胎児の脳で大量の細胞死が起きることが影響しているのではないか？という研究発表も成されました。

現在の確率ではFASの赤ちゃんが産まれるのは、日本では1万人に1人。より女性の飲酒率の高い米国では1000人に1人といわれています。この数字だけを見ると決して高い確率のように思われないかもしれませんが、日本でも近年女性の飲酒の低年齢化や飲酒する人の割合が高くなっていますので、この数字に安心してはいられません。

もちろん、飲酒を控えるのは出産までではなく、授乳期も同じこと。お母さんが摂取したアルコールは母乳から赤ちゃんに吸収されてしまいます。小さな赤ちゃんはアルコール耐性がとっても低く、少量でも影響があると考えられますので、授乳期が終わるまでは飲酒は控えるべきでしょう。

今のところ「どれくらい飲んだら胎児がFASを発症する可能性があるのか？」といった酒量は明確になっていませんが、逆に「安全だと断定できる酒量はない」と考えるべきです。妊娠がわかった時点から出産、そして授乳が終わるまでは極力飲酒を控えてください。「少しなら、いいだろう」という考えは禁物です。大切な赤ちゃんのために、お母さん達にお願いしたいことです。