甲類と乙類 焼酎の分類学
いつも無意識に楽しんでいる焼酎に「甲類」と「乙類」という分類があるのをご存知でしたか?一見、非常に似ているようでも原料や製法にはいろいろと違いがあります。もともと、この呼び方は1949年に設定された酒税法上の区分ですが、ここでは焼酎のこの二つの分類をご紹介しましょう。
焼酎甲類は、かつては「新式焼酎」と呼ばれていました。文字通り、伝統的な焼酎に対して「新しい」焼酎という意味です。乙類との一番大きな違いは連続式蒸留機で蒸留を行なっていることです。
原料を糖化し発酵して生まれる醪(もろみ)は数本の蒸留塔に連続的に供給され、蒸発、分縮、還流という複数の作用により高純度のアルコールが取りだされます。これは単式蒸留機で何度も蒸留を繰り返すことと同じ原理です。
こうして抽出された焼酎甲類は無色透明でピュアなクセのない味わいが特徴です。
ピュアでクセがないからこそ、その楽しみ方も酎ハイやサワー、お湯割り、カクテル、果実酒、薬用酒と...無限に広がります。もちろん本来のすっきりした味わいを楽しむロックもおすすめです。他には、糖質、脂質、プリン体がゼロ、適量を守って飲めば、翌朝の酔い覚めがさわやかという、うれしい特徴もあります。また、アルコール度数は36%未満に規定されていますので、誰にでも気軽に楽しんでいただける焼酎です。
焼酎乙類は、かつては「旧式焼酎」と呼ばれていました。蒸留は単式蒸留機で行われ、アルコール度数は45%以下のものです。蒸留の仕組みが非常にシンプルなので、焼酎乙類はアルコール以外の香味成分も抽出され、それが原料独特の風味や味わいになります。原料の風味が生かされるので原料は非常にバラエティに富んでおり、米、麦をはじめさつまいも、そば、黒糖などが使われています。本格焼酎とも呼ばれており、特にロックやお湯割りでは焼酎本来の味わいを楽しめます。
焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)と焼酎乙類(単式蒸留焼酎)を混合したものを「混和焼酎」 といい、ブレンドにより甲類のクセのなさと乙類の香りや風味といった長所を相乗的に活かしています。たとえば、甲類に風味をプラスするために乙類をブレンドする、逆に乙類の臭いを和らげるために甲類を混合させるといったことです。甲類、乙類どちらをベースにするかで呼び方が異なり、甲類が50%以上であれば「甲類乙類混和」、50%未満の場合は「乙類甲類混和」となります。