花梨(カリン)
バラ科カリン属
英語名:chinese quince
仏語名:nefle
晩秋に黄色い大きな実をつけるカリン。その実は硬く生食はできませんが、砂糖漬け、果実酒、のど飴などに加工されることで、その魅力を開花させます。そんなカリンの由来や特徴をご紹介します。
カリンの由来と特徴
カリンは中国東部の浙江省付近を原産としており、日本には平安時代以前に渡来していたといわれています。落葉性の中高木で、樹高は6~10m。3~5月にピンク色の5弁の愛らしい花をつけ、成熟した果実は10~11月に収穫されます。
熟すと鮮やかな黄色になる果実は、大ぶりの洋梨に似た楕円形。果肉が非常に硬く、石細胞が多く、渋いため生食はできませんが、その芳香は素晴らしいものがあります。生食できない代わりに、砂糖漬けやジャム、ゼリー、果実酒などの加工食品として大いに重用されており、のど飴の原料としてもよく知られています。特に果実酒には向いており、酸味のきいた味に深みのあるお酒ができます。日本国内では、長野県、山梨県、山形県、香川県などで多く生産されています。
カリンの効能
果肉にはリンゴ酸、クエン酸、カロチン、タンニン、ビタミンC、ミネラルなどを多く含み、滋養強壮、疲労回復、貧血、冷え性などの他、咳止めにもよいとされています。
日本でも古くから喉の炎症を抑える民間療法として用いられており、「和木瓜」という生薬名もつけられています。
カリンの仲間:マルメロ
マルメロは果実の色や形がカリンによく似ているため混同されがちですが、バラ科のマルメロ属で、カリンとは異なるものです。最も大きな違いは、果実の表面に短い毛が密生していることですが、果肉の性質はカリンと非常によく似ており、生食できない代わりに加工食品として広く用いられます。ちなみに、長野県ではカリンのことをマルメロと呼んでいるそうです。