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枇杷(ビワ)

バラ科ビワ属
英語名:Loquart
仏語名:Bibace
やわらかなオレンジ色。甘みも酸味もやわらかく、いかにも日本的なイメージの果実、ビワ。強烈な個性はありませんが、食用の歴史も古く、日本人の生活に寄り添うように在る果実です。今回はそんな奥ゆかしいビワの魅力に迫ります。

ビワの由来と特徴

ビワは、その果実の形が楽器の琵琶(びわ)に似ていることから名付けられました。
原産地は中国の揚子江上流地域といわれていますが、非常に古くから日本にも自生しています。中国ではおよそ1500年前、日本では1000年ぐらい前には既に食用されていました。寒さに弱いため、日本では西部・南部で栽培されており、北限は埼玉県とされています。
バラ科の常緑木で11月から1月にかけて白い花をつけ、6月頃に実が熟します。実はオレンジ色で下ぶくれの卵形から球形をしており、表面は非常にやわらかな細く短い毛で覆われています。甘み酸味ともほどほどで、非常に上品な味わいです。他の果物に比べ、旬の時期がかなり短いのも特徴といえます。
ほとんど生食されますが、缶詰、シロップ漬け、ジャム、ジュース、果実酒などの他、ゼリーやケーキの材料としてもよく用いられます。
最もポピュラーな品種である茂木ビワが栽培され始めてから、非常に多くの品種が育成されるようになり、現在は長崎県や鹿児島県などの温暖地をはじめ、千葉県でも多く栽培されています。

ビワの効能

果実はクエン酸やリンゴ酸などの有機酸を多く含み、カロチン(ビタミンA)に富んでいて、カロチンの含有率はピーマンやトマトを上回ります。葉は古くから民間療法に用いられてきました。ビタミンC、ビタミンB、ポリフェノール、サポニンなどを多く含むため、動脈硬化、高血圧予防や疲労回復によいといわれています。乾燥させた葉を煎じて飲むビワの葉茶は、咳止め、食あたり、利尿などに効能があるとのことです。

主な品種

茂木(もぎ)

栽培種のルーツともいえる品種で、江戸時代後期に長崎市の茂木町で初めて栽培された。中国産の唐(から)ビワから栽培されたもので、実は小ぶりながら果肉が厚く、多汁で甘みも強い。皮がむきやすいのも特徴。長崎県、鹿児島県で多く栽培されている。

田中(たなか)

明治初頭に東京都本郷の田中男爵が、長崎から持ち帰った種子で栽培したことから田中と名付けられた。実は茂木よりやや大ぶりで、酸味に富む。比較的寒さに強いことから千葉県で多く栽培されている。

瑞穂(みずほ)

1936年に旧農林省の果樹試験場で開発された品種。田中と楠(くすのき:江戸時代末期に高知で栽培された品種)を交雑して生まれた。実が大きく、味も良いため、近年栽培量が増加している。

大房(おおぶさ)

瑞穂と同じく旧農林省果樹試験場で、田中と楠の交雑で1942年に開発された品種。
非常に実が大きく美味。寒さや連作障害にも強く、田中よりも収穫期が早いため、千葉県の栽培品種は、この大房に移行しつつある。

白茂木(しろもぎ)

1982年に長崎県果樹試験場で育成された比較的新しい品種。国立遺伝学研究所に依頼し、茂木の種子に放射線のガンマー線を照射して播種養成した実生から選抜、育成されて得られた。実は茂木よりは大きいが田中よりは小さい。茂木同様皮が薄く、むきやすい。甘みに富むが酸味は少なめ。

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